「北から南へ:旅とサバと南部せんべい」
9月11日の朝9時、苫小牧からフェリーに乗り、夕方に八戸へ到着しました。夕方に着いたので、まずは何か食べようと思い、ホテル近くの「サバの駅」というお店に入りました。
そこで食べた鯖の串焼きが特に印象に残っていて、本当に美味しかったです。
美味しいなと思いながら食べていると、ふと目の前のメニューに「サバが不漁のため、北海道産のサバを使用しています」と書かれているのを見つけて、「だから美味しいんだ!」と心の中で納得してしまいました(笑)。
本当は数日かけて東京へ向かう予定でしたが、急な用事ができたため、翌日には都内に直行することに。途中、高速道路のパーキングエリアで何度か休憩しながら、売店をのぞいていました。
そこで、南部せんべいが目に入り、つい買ってしまいました。南部せんべいが大好きなので、気づいたらいろいろな場所でたくさん買い込んでいました。
実は、自分一人で食べるつもりではなく、友人と一緒に食べることを想定していたのですが、妻はあまり食べないんですよね。その友人はフレンチレストランの腕利きシェフで、いつも飲んでいるうちに、ワインが進むと乾き物のお菓子をつまみにするんです。
だから、一緒に食べることが当たり前のように感じていましたが、よく考えると、彼は今富良野に住んでいて、次にいつ会えるかも分かりません。
現実に戻ると、「あ、一緒に食べられないんだ」と気づいてしまい、買いすぎたことに気が付きました。
なんだか不思議な寂しさを感じましたが、これも自分が選んだ道だと思うと、後悔はありません。
同じような気持ちを抱いたのは、岐阜の高校を卒業して大阪の調理師学校へ進学したときです。
アルバイトをしながら学ぶ制度を利用していたので、学校が始まる前に大阪へ引っ越していました。
そこでは、風呂やガスなし、水道とトイレは共同の4畳半ほどのアパートに住んでいました。
引っ越し翌日の朝、いつも感じていたザワメキがなく、静かな部屋で目覚めました。
「ああ、今日から大阪なんだ」と実感し、完全に一人になった寂しさが込み上げてきたのを覚えています。
そのときのアルバイト先は、心斎橋のグリコの看板が見える川向かいにあったロシア料理店「モスクワ大阪」でした。